2007年08月10日

勝手に決めるな!


ガタカ 原題:GATTACA
製作1997年 アメリカ 監督:アンドリュー・ニコル
脚本:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ


生まれた瞬間に将来が決まっているような人生って・・・・・
つまらないですよね。
子供に嫌な人生は歩ませたくないっていう親の気持ちはわかりますが
いきすぎるとこういう未来になるっていうのは
ありえない話ではないと思いました。

(あらすじ)
未来では遺伝子操作の技術が発達し、
優秀な遺伝子を選別する試験管受精が当たり前となっていた。
そんな中自然妊娠で生まれたビンセントは生まれた瞬間に
心臓病の確率99%で予測寿命30歳、『不適正者』と判断される。
宇宙飛行士になる夢を捨てきれないビンセントは
適正者のみが採用される宇宙飛行士養成施設ガタカに入るために
事故で半身不随となった『適正者』ジェロームから
血液や尿をもらい、身分を偽ってガタカに入所する・・・・・。


確率はあくまでも確率。
確率が高いからといっても100%以外は
必ずそうなるとはいえないんですよね。
私は時々パチンコ番組を見るのですが、
確変持続率80%の台が単発ボーナスで終わる事の多い事・・・。

自分の人生を型にはめてしまって
自分の実力はこんなもんだってあきらめちゃいけないって
いうテーマが隠されてるんじゃないかな、と深読みしました。

今回もジュード・ロウは『リプリー』と同じように
他人にとってかわられてました。
(この映画ではちょっと意味が違いますが)
彼のようになりたいって思わせる人物だと思います。
完璧な遺伝子を持つ男っていう設定でも不思議ではない!


GATTACAというのはDNAの基本分子グアニン、アデニン、
チミン、シトシンの4つの頭文字を組み合わせたものです。
そういうこだわりが隠れてる映画って好きです。



2012.01.22 追記
ブログDEロードショーで再見しました。
以下、ネタバレ含む感想です。









前回観た時はイーサン・ホーク視点で観たのですが、
今回は周りの人物の事がよく見えました。
ジュード・ロウ演じるユージーン、本物のジェロームですが
彼の気持ちがすごく切なかったです。

最初からダメと烙印を押される方もつらいけれど、
最初から周囲にできるだろうと期待されて、
それに応える事のできない自分だとしたら
どんな思いをしただろう・・・と。

医学が発達しているであろう近未来で
どうして足が治せなかったんだろう?と思っていたのですが
あえて治さなかったのではないかと今回は思えました。
健康な体に戻ったら、再びレースに出なければならないから。
彼があの体になったのは自分が望んでなったのです。
(というか、死のうとしたはずですが。)
レースに出てもまた銀メダル止まりかもしれない・・・・・
彼はそれが怖かったのだと思いました。

私事ですが、うちは夫婦ともに医者なんです。
(まあ、私は今は無職ですけど。)
子供もそれなりの成績、将来を期待されているのかも
・・・と思うと、ちょっとかわいそうになります。
(夫の父母に長男が初めての通知表を見せた時に
まず「全部◎じゃないんだね」、と言われましたから。)


確率って難しいですよね。
例えば、私は副作用が起こる確率や余命を説明していた側ですが
起きる確率は100万分の1だとしても、いざ自分や家族の身に
起こってしまえば、いくら分母が大きくったって関係ないのです。
余命だってわからないです。
あくまでも平均であって、目安なのです。
必ずその時にそうなるとはいえないのです。
子供の発達だって、それぞれ年齢の目安はありますが
早い遅いはありますからね。
例外のないルールはない・・・・・
人間って無限の可能性を秘めていると思います。


子供には周囲の期待におしつぶされる事なく
また、自分はダメだと枠を作ってしまう事なく
夢に向かってあきらめず努力してほしいと思いました。


あ、一つだけこの映画にツッコミをいれるとすると
あれだけ診断技術が高くなっているのだから
生まれてからじゃなくって、出生前に診断できるんでは?と
思いました。
生まれてからあんな宣告されたら酷でしょ・・・。

2012.01.26 追記
↑で出生前に・・・と書きましたが、
あの後ずっと考え続けていて
出生前だったら、命の選別をしてもいいのかという
疑問が自分の中に起こり、答えを出すことはできませんでした。

うちには3人の子どもがいますが、
妊娠初期には心音が確認できず
次の検診まで祈りながら過ごした子もいます。
お腹に宿った瞬間に愛しいわが子になるのです。
生まれる前だったら「選別」しても良いというふうにも
受け取れる文章を書いてしまったことを反省して
訂正したいと思います。

ただ、何らかの大きな病気、ビンセントのように
心臓病を指摘され生まれても長生きできないかも
と言われてしまったら、どうしていただろうか・・・。
誰がどのような選択をしても、
他人がどうこう言う権利はないと思います。
本当に難しい問題だと思います。

ブログDEロードショーというイベントで
本作を観て、他の人の意見を読まなければ、
ここまで深く考える事はなかったと思います。
関係者の皆さんに本当に感謝いたします。
posted by マミイ at 11:46| 大阪 ☀| Comment(10) | TrackBack(4) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

ジェロームの件、おっしゃる通りだと思います。
私もこの近未来であの足を治せないのはおかしいと思っていたのですが、作中で自分から車に…というくだりがあり、私もタイトルの次に書かせてもらったのですが「その完璧さこそが重荷となる」という言葉があるんですよね。
ただ彼はその自分の全てをビンセントに託しつつも、夢を捨て続けることができない葛藤の中で生きていたのかもしれません。
ラストの死はそれから吹っ切れたということかな。

まぁ、素質がありながら努力を怠り、消えていく人は現代にも多く、私ももっと努力していかないと駄目だなと思えました。

ビンセントは…出来ちゃった婚に近いのでは…こういうのって生まれる子が可哀想すぎる。

トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
Posted by 白くじら at 2012年01月22日 10:52
白くじらさん、おはようございます。
トラックバックもありがとうございました。

>その完璧さこそが重荷となる
スターや頂点に立つ人、立つと期待されている人の重圧って
常人の想像を超えた、まさに重たい荷物なんでしょうね。

>夢を捨て続けることができない葛藤の中で生きていたのかもしれません。
そうですね。
そして、周囲から不適格と言われているのに
あきらめず努力するビンセントと関わるうちに
彼の中で何かが少し変わったような気がしました。
・・・・・結局は死を選んじゃいましたが^^;
でも、最初に車に飛びこんだ時とは
絶対に気持ちが違っていると思います。
私にはうまく言い表すことができませんが(>_<)


ビンセントの両親はどうなんでしょうね?
神様に・・・という割には信仰心が薄そうでしたよね。
まさか、生まれ落ちた瞬間に寿命などを言われるとは思わず
軽く考えていたのかもしれませんね。
(人間誰しも自分だけは大丈夫と考えるものですし。)
そう考えると、あまりにも軽率ですよね(>_<)
Posted by マミイ at 2012年01月22日 11:27
こんにちは!
わたしも再見して、脚は治せないんじゃなく、治さなかったんだろうなぁと思いました。海外でわざわざ事故に遭ったのも、その後、おそらく両親に会ってないのも、期待に応えられなかったことで自分の存在価値を見失ってしまったからだと思います。もしかしたら親に酷い事を言われたのかも・・・。切ないですね。

寿命宣告は、主人公のモチベーションとか物語の緊張感を保つためだけに行ったように見えました。いくらわかるからといって、宣告するほうもされる方もキツイことをわざわざしませんよね。本人が強く望んだというならわかりますが。
そこら辺の強引さも今回はちょっと目に付いてしまいましたが、こうして皆さんと一緒に観られて良かったです。
ご参加ありがとうございました。
Posted by 宵乃 at 2012年01月22日 14:50
本当ですね。
「二位じゃだめなんですか?」って流行語になりましたが、銀メダルだってスゴいのに、それでも求められてるものが得られないと、認められないというのは、どんなにか辛いことでしょうね。

そうですよね。お産直後の超デリケートな時にそんな事言ったら大変ですよね。

って、え!マミイさんご夫婦でお医者さんだったんですか!
なんか知的で理系な感じがしましたよ。
いつもかえるままの、おばか日記にお付き合い下さってありがとうございます。
Posted by かえるまま at 2012年01月22日 17:34
宵乃さん、こんにちは。

初見時には気づかなかったことを色々考える事ができた
今回の鑑賞でした。
選んでくださってありがとうございます。

>もしかしたら親に酷い事を言われたのかも・・・。
慎重に選別してエリート街道が約束された人生のはずなのに
子供が期待に応えてくれなかったとしたら
もしかしたら叱責したり、勘当しているかもしれませんね。
この世界では生まれる前から親がレールを敷いている人生なのかもしれませんね。
でも、エリートの中にも優劣があって
ユマ・サーマンみたいに欠陥のあるエリートもいて
選別だけでバラ色の人生が約束されているわけではなさそうでしたね。

それにしても、最悪の事態を考えずに運任せで出産し、
その後運命を受け入れようともしなかった
ビンセントの両親は本当に軽率で許せないなぁと思いました。


寿命などの血液データに関しては血液型占いと同じような感じかなぁと思いました。
A型は真面目とかってすべてのA型にあてはまるわけではないですよね。
時折強引なところはあったものの、
現在でもあてはまる、共感できる部分も多かったように思います。
Posted by マミイ at 2012年01月22日 17:55
かえるままさん、こんばんは。

>求められてるものが得られないと、認められないというのは、どんなにか辛いことでしょうね。
本当にそうですよね。
スターと呼ばれ、賞賛されている人が
ドラッグに逃げるのも認められないつらさがあるのかもしれませんね。

お産直後って普段は笑って聞き流せるような事も
泣いてしまうくらい感情の起伏が激しいですよね。
でも、自分で↑に書いたのですが
出生前診断もどうなんでしょうね。
生まれる前だから命の選別をしてもいいのか・・・・など
観終わった後も色々と考えてしまう映画です。

>いつもかえるままの、おばか日記にお付き合い下さってありがとうございます。
笑いあり、涙あり!?の楽しい日記を
いつも楽しみにしています。
これからも無理のない範囲で末永く続けてくださいね〜!
Posted by マミイ at 2012年01月22日 22:08
こんばんは。

お医者さんであり、母親でもあるマミイさんが、
この映画について深く考えられていて参考になりました。
ボクは誰がキレイとかカワイイとかばかりで、本当に子供だなあと……。

それでもパチンコ番組のたとえにちょっと和みました(笑)。
Posted by 犬塚ケン at 2012年01月27日 01:58
ケンさん、こんにちは。

普段だったらここまで深くは考えなかったと思います。
ブログDEロードショーって本当にいい企画ですよね。

>ボクは誰がキレイとかカワイイとかばかりで、本当に子供だなあと……。
いやぁ、映画を観るのには大事な要素だと思いますよ。
どんなにお話が気に入らなくっても
その人が出ているだけでいい!っていう事ありますもん。笑

パチンコは私は実際にはやらないんですが、
番組を見るのは割と好きです。
私はイラチ(=せっかち)だから
当たるまでジッと座っているのが耐えられないんです。
Posted by マミイ at 2012年01月27日 10:04
こんばんは!!

マミイさん、お医者さんだったんですね!!
実はうちも親や周りにお医者さんが多く・・
僕は違いますが、バカなのか劣等感もなく今まで
やってきてます(笑)

こんな風に育ててもらって感謝してます!!(^^)

ジュードロウは最後、自分じゃないにせよ宇宙飛行士として
名前を残してくれて感謝してるのかな?と思いましたが、
よく考えたら、名誉を追ってばかりだと寂しいですね。
それに満足して死ぬと言うのは「どうか?」という気がしてきました・・

方法は問題ですが、ヴィンセントの努力する姿は良かったですよね!
僕も努力しなければ、、と思います!!

皆さんの記事を読めば読むほど考えさせられます!!(^.^)

トラックバックさせて頂きました!!(^^♪
Posted by take51 at 2012年01月29日 19:30
take51さん、こんばんは。
トラックバックもありがとうございます。

>こんな風に育ててもらって感謝してます!!(^^)
こういう事が言えるってtake51さんは素晴らしいと思います!
うちの子どもたちも大人になってからtake51さんと
同じような事を思ってくれたら親としては嬉しいです。

ジュード・ロウが演じたジェロームの気持ち・・・
最後は本当にわからないですよね。
わからないからこそ、みんなでアレコレ意見が出て
それを読むのはすっごく自分のためになったなぁと思いました。
Posted by マミイ at 2012年01月29日 22:38
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