ハート・ロッカー 原題:THE HURT LOCKER
製作2008年 アメリカ 監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、
ブライアン・ジェラティ
アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞など総なめにした
話題作でしたよね。
ついつい期待を膨らませて観てしまいました。
(あらすじ)
2004年、イラク駐屯中のブラボー部隊に
新しい爆発物処理班のリーダーとして
ジェームズ二等軍曹が配属される。
ジェームズは自らの危険を顧みず
爆弾に近づく人間だった・・・・・・。
ジェームズの性格がとんでもないので
感情移入して観る事はできないと思います。
そういう映画ではないです(^^;
痛みや恐怖というのは生きていく上で
危険を回避する為に必要なものです。
でも、痛みや恐怖にさらされすぎると
人間の精神は壊れてしまうから
だんだんと痛みや恐怖心は麻痺していきます。
ジェームズは恐怖をほとんど感じない人間です。
恐怖心をなくしていく過程が全く描かれていないので
彼に共感する事はほとんどないと思います。
恐怖を感じない人が主人公だから
戦争の緊迫感などがあんまり伝わってこなかったです。
その辺がリアリティが少ないと一部に言われている
所以かもしれません。
(私も『ジャーヘッド』の方がリアリティを感じました。)
戦争映画だから、人が死ぬのは当たり前なのですが、
理由なく死ぬんではなくって、
なんというか自業自得、やぶへび的な感じがしました。
爆弾を運ぶ台車のメンテを怠っていたり、
危険かもしれないのに不用意に市民に近づいたり・・・
この映画を観ても、他の戦争映画を観るように
戦争ってひどいなってあんまり思えなかったんです。
そう思う自分の感覚が実は麻痺しているかもと思うと
・・・・・・この映画は侮れないかもしれません。
序盤で主人公が部下に「お前の道は正しいのか?」と
問いかける場面がありました。
アメリカがしている事は正しいのか?
そんな事を思った映画でした。
キャスリン・ビグロー監督、マーク・ボール脚本で
ビン・ラディン殺害作戦を映画化するようです。
タイトルは『Zero Dark Thirty』
全米では今年の10月に公開予定なのだとか。
・・・・・・2匹目のどじょう?
どんな仕上がりになるんでしょうね。
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わたしはジェームズが恐怖感を失くしてしまったというより、恐怖の向こうにあるアドレナリンの高揚感を求めてしまっているんだと思いました。今、そこに立っているだけで怖いから、それを忘れる為に危険に向かっているんだと。
こういう戦争中毒になるまでに、どれだけの体験をしてきたのか…そう考えると、戦争って本当に恐ろしいし、いけない事だと思えます。
『ジャーヘッド』は未見なので、機会があったら挑戦してみますね。
冒頭の「戦争は麻薬だ」という一文を考えるかどうかで
随分と印象が変わる映画だと思いました。
>わたしはジェームズが恐怖感を失くしてしまったというより、
>恐怖の向こうにあるアドレナリンの高揚感を
>求めてしまっているんだと思いました。
なんていうか、ネジがはずれてしまってるというか
ジェームズは「壊れた人」って感じがしました。
こんな風になるのは戦争のせいなんですかね、やっぱり。
>こういう戦争中毒になるまでに、どれだけの体験をしてきたのか…
ジェームズがああいう風になるのは
一朝一夕ではないと思います。
ただ、作中ではその過程が一切出てこないので
そこに思い至るまで私は随分と時間がかかりました。汗
>『ジャーヘッド』は未見なので、機会があったら挑戦してみますね。
こちらは湾岸戦争の海兵隊のお話です。
はっきりとした敵が出てこないのですが
とても緊張感を感じました。
でも、『ハート・ロッカー』で緊張感を感じなかったのは
もしかしたら、感情移入出来ないと書いたけど
実はジェームズになって観てたのかもしれない
・・・と、今頃になってジワジワきてます。