原題:LE CHATEAU DE MA MERE
製作1990年 フランス
監督:イブ・ロベール
原作:マルセル・パニョル
脚本:ジェローム・トネール、イブ・ロベール
出演:フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル
ジュリアン・シアマーカ
『プロヴァンス物語マルセルの夏』の続編です。
「夏」が終わったところから始まるし、
内容的にもこちらの方がかなりほろ苦いので
できれば「夏」とセットで観ていただきたいです。
(あらすじ)
丘の上での最高の夏休みは終わり、マルセル達は
再び学校へ戻る。
しかし、丘での出来事を忘れられないマルセルを見て
母は週末ごとに別荘に行くことを決め・・・・・。
交通網が発達していない時代に、週末ごとに
大荷物を抱えて9q歩いて別荘へ行くというのは
本当に大変だったろうと思います。
子供への愛情がなければできなかったと思います。
そして、そういう親の愛をちゃんと理解している
マルセル少年は本当に利発な子だと思いました。
私有地を通り抜けるのも
子供心には大冒険だったのではないでしょうか。
でも、原題にある「お城」も「母」も
途中ではほとんど出てこないんですよね。
前作では父への愛がしっかり描かれていただけに
ちょっと残念な感じがしました。
でも、初めての恋をして
友達や家族をほったらかして浮かれてみたりとか
彼なりに成長しているのと
本当に大好きな、特別な想いを持っている人の事は
しっかりと描写できないというのは
「あいまい訳詞クラブ」をやりだしてから
私も思っている事なので、なんとなくですが
作者の母に対する特別な愛を感じました。
(あ、お父さんの事も本当に大好きなんですよ!)
それと初恋相手のお父さん・・・・・
昼間っからアブサン飲んでました。
角砂糖の上からお水を注ぐと
中味が白濁して・・・神秘的でした。
マルセル少年にはわからなかったでしょうが
かなりの酔っぱらいですね〜。
(私はアブサン飲んだことないですけど。)
最後はややほろ苦いしめくくりを迎えます。
人生は酸いも甘いもあるものだけど、
私は少年時代の想い出だけに
ひたりたかったかなぁ。
オコチャマですみません。
『アメリ』で部屋の隅の古いタイルの奥から出てきた
おもちゃ箱のような、とても大切な胸の奥の
宝物のような映画でした。
(わかりにくい例えですみません。)
そういえば、マルセル少年は就学前から字が読めて
大して勉強していなくても難関の奨学生試験に
2位で合格してしまうという非常に優れた
能力の持ち主です。
でも、これって自伝だから自分の事を
このように描写してるんですよね。
事実だから仕方ないといえばそうなのですが、
虚栄心を少〜し抑える事の出来ないところは
父親にソックリだなぁと微笑ましく思いました。
(父さんも狩りの写真を大事に飾っていました。笑)
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そういえば前作の父親の描かれ方に比べると、母親の出番が少ないですよね。
>本当に大好きな、特別な想いを持っている人の事はしっかりと描写できない
というマミイさんの解釈に「なるほど!」と得心しました。マルセルの虚栄心についても、ニヤニヤしちゃいましたよ(笑)
大好きな作品なんですが、雰囲気に浸るばかりで細かいところまで目がいってなかったかも。
本当に「アメリ」のおもちゃ箱みたいな作品だと思います。
母の出番が少ない事に最初は少しガッカリしたのですが
マルセルの気持ちを考えるとこうだったのかなぁ・・・と
思い至り勝手に自分を納得させてみました。
私は器が小さいので
他の自伝映画ではプチ自慢が入ってると
ちょっとイラッとしてしまうのですが(笑)
マルセルの場合はお父さんとのやり取りを見ていたからか
微笑ましく観る事ができました。
本当にいい父子関係だったと思います。
セットで楽しみたい映画ですね。
もう少し年齢を重ねた時に見返すと
また違った感想、感動を味わえそうです。
(その時もぜひともセットで観たいです。)