海と毒薬
製作1986年 日本 監督:熊井啓
原作:遠藤周作
脚本:熊井啓
出演:奥田瑛二、渡辺謙、岡田真澄、岸田今日子
遠藤周作の原作を高校生のころに読んだ覚えがありますが
印象すら覚えていないので、映画で観てみることにしました。
(あらすじ)
第二次世界大戦末期の昭和20年5月。
九州の医大で研究生をしている勝呂と戸田は
物資もなく、空襲におびえ漫然と日々を送っていた。
ある日医学部長選挙で巻き返しをはかりたい教授から
B29の捕虜を使った生体解剖実験の助手を頼まれるが・・・。
かなりリアルに作りこまれています。
モノクロの作品で、本当に戦時中のドキュメントと言っても
通りそうでした。
教授の回診風景や病状説明でドイツ語を使うところ、
手術の緊迫感や臓器などもかなりリアルでした。
人を生かす術を学んだはずの医者が
人を殺すために手術、実験をする・・・・というのが
とてもショッキングでした。
しかし、どうしようもないという閉塞感や
戦争中なんだから仕方がない、もうどうなったっていいや
という投げやりな気持ちもわかりました。
ドキュメントのように事件をうつしだしただけなので
後の判断は観ている側に委ねられています。
かなり重いテーマなのであまり社会派でない私は、
どうしたらいいのか困ってしまうほどでした。
なので鑑賞後にスッキリ感はありません。
大人になった今、原作も読み返してみたいなと思います。